小口に複数本の石鑿による線条痕を残す巨大な切り出し石材です。
通常、線条痕は石材切り出しの際、矢穴を開けるための目印として刻まれることが多いのですが、
この切り出し石材の線条痕は矢穴を開けるための目印ではないようです。
江戸城趾の石垣には多数の簾状模様を施した石材が積まれていますが、
この石材の線条痕の間隔は大きく、何のために刻んだのか謎の一つとなりました。

採石途中の石材に複数線条痕を残す石材は珍しく、
東伊豆町大川地区の切り出し石材に、
刻印の大きさを統一させるために刻んだと思われる線条痕が確認されています。


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